ようこそゲストさま

president_kamata 私立大学は、わが国の発展に大きく寄与してまいりました。とりわけ歴史の大きな転換点で、極めて重要な役割を果たしました。明治期の急速な近代化は、それぞれの建学の理念を掲げた私立大学が、幅広い市民層の知的水準を高め、近代的な市民意識を醸成し、普及させたことがなければ実現し得なかったでしょう。世界を驚かせた急速な戦後復興と高度経済成長も、私立大学が多くの有為の人材を受け入れて、高等教育を施し、分厚い中間層を形成したからであると言っても過言ではありません。人口が急増し、大学進学率が急激に高まった時期に、その増加した大学進学者の大部分を吸収したのは私立大学であり、国立大学はほとんど定員を増やしませんでした。その結果、現在では、わが国の学部学生の約8割が私学に在籍するに至っており、高等教育経費は家計が担うものだという感覚が国民一般に広がっていきました。

 日本私立大学連盟は、このように急速に役割を増してきた私立大学の更なる発展と充実のために、「会員相互の協力によって、私立大学の権威と自由を保持し、大学の振興と向上を図り、学術文化の発展に貢献」することを目的として、1951年に発足いたしました。以来、本連盟は、会員のご協力ならびに多く理解者のご支援によって、大きく発展してまいりました。

 日本私立大学連盟の初期の活動の中で最も大きかったものの一つが1975年の私立大学振興助成法の制定を実現させたことだと思います。しかしながら、同法に基づく私立大学経常費補助金は、1980年の29.5%をピークにして、以後は急速に減少して、遂に10%を割り込んで、私立大学の公益的役割に見合った国庫助成という考え方が危機に瀕しています。

 現代社会は、グローバル化の進展と情報通信技術の発展によって、急速で大規模に変化しつつあります。全く新しい未知の課題に対応するためには、知識量を増やすだけではなく、知恵を絞ることが重要になります。さらに、生涯にわたって最新の知識技術情報を学んでいかなければなりません。このような時代だからこそ、一人ひとりの個性を尊重しつつ自由で柔軟な教育研究を展開してきた私立大学が、その特色を存分に発揮することが強く求められていると言えるでしょう。

 にもかかわらず、わが国の高等教育に対する学生一人当たりの公財政支出は、国際的に見て極めて低い水準にあると言われていますが、実は、国立大学は世界最高水準、私立大学は圧倒的な最下位で、両者に約13倍の格差が存在しています。学生の在学する高等教育機関の設置形態の違いによってこのように大きな格差があることに何の合理性も見出せません。

 新しい時代を支える人材の育成という社会的使命を果たすために、私立大学は自助努力を重ねていますが、それはもはや限界に達しています。われわれ私立大学自らが声をあげて、私立大学の果たしている社会的な役割の重要性とそれを実現するための公的支援の必要性について、広く社会の理解を得ていくことが必要不可欠です。

 連盟では、加盟大学の皆さまと危機意識を共有した上で、一体となって私立大学の新しい潮流を作り出す行動を積極的に展開していく所存ですので、皆さまの従来にも増してのご支援をお願い申し上げます。

一般社団法人日本私立大学連盟
会長 鎌田薫(早稲田大学総長)