会長挨拶

 日本私立大学連盟はサンフランシスコ平和条約が締結された1951(昭和26)年に設立されました。新生日本とともに出発した日本私立大学連盟は、「会員相互の協力によって、私立大学の権威と自由を保持し、大学の振興と向上を図り、学術文化の発展に貢献する」ことを目的に活動を続けています。
 
 歴史を遡れば明治以降、私立大学はそれぞれ特色ある教育を実践し、日本の近代化に必要な人材を社会のさまざまな分野に送り出してきました。帝国大学がまだ女子学生を受け入れていない時期に、女子の高等教育の普及に力を尽くしてきた実績もあります。 

 戦後は、新制大学への移行後、国立大学の数がほぼ一定であったのに対して、私立大学は社会の需要に合わせて増加してきました。先の東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年には国立大学が72、私立大学は185でしたが、1984(昭和59)年には国立大学が95、私立大学は331に増加していました。2018(平成30)年には、国立大学が86、私立大学が約603であり、大学生の約8割が私立大学で学んでいます。このことは、私立大学が戦後日本の復興や経済成長に必要な多くの高度人材の育成に重要な役割を果たしてきたことを意味しています。

 また、1975(昭和50)年に私立学校振興助成法が成立し、私立大学に対する公的補助が始まるまでの長い間、私立大学は経営に苦心しながら、ほぼ独力で教育・研究・医療の向上に努力してきました。しかも私立学校振興助成法成立時には私立大学の経常的経費の二分の一補助が目標とされていましたが、1980(昭和55)年の29.5%を最高に、その後は急速に減少し、現在では10%を割り込んでいます。

 最近、大学の数が多すぎるとの声も聞こえてきますが、大学進学率が50%を超えたとはいえ、グローバル化が進み、AIやIoT 、ロボティクスなどテクノロジーが急速に進歩する中で、高度な教育を受け、世界で活躍できる多様な人材の必要性はさらに高まっています。

 私立大学に共通しているのは、大きな夢と高い志を持つ創立者が情熱を傾けて大学を作り上げ、その建学の理念が継承されていることであり、その力はそれぞれが個性を持ち多様性に富んでいることに由来しています。近年、私立大学を囲む環境が大きく変わりつつありますが、主体的に改革に取り組み、自律性を高めることで、私立大学はこれからも多様な人材を輩出し、人類社会に貢献することができます。

 1991(平成3)年の大学設置基準の大綱化に当たって、当時の大学審議会は答申のなかで、「各大学が自由で多様な発展を遂げるよう大学設置基準を大綱化する…必要がある」と述べました。 

 今後も、私立大学が自由と多様性を守りながら発展していくために、日本私立大学連盟として何ができるか、何をすべきか、加盟大学や、広く社会の皆様とご一緒に考えぬいていきたいと思います。

一般社団法人日本私立大学連盟
会長 長谷山 彰(慶應義塾長)

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